充電中【創作童話】



ボクの一番の友達は、クマくんです。

いつも一緒に遊んでいます。

ボクは、クマくんの秘密も知っています。

実は、クマくんは……ロボットなんです。

 

クマくんは、たくさん食べるし、いっぱい笑うし、

転んだら血が出るし、大声で泣きます。

だから、森のみんなは、クマくんがロボットだってこと、誰も知りません。

クマくんが誰にも言わないから、ボクも誰にも言いません。

これは、ボクだけが知っているクマくんの秘密です。

 

ボクとクマくんは毎日一緒に遊びます。

でも、クマくんは時々、ボクを一人残して、お家に帰ります。

その時に必ず言います。

「充電してくるね。」

ボクは、その間、一人で遊んでいます。

でも、考えてみたら、おかしいです。

ボクは充電なんかしなくても、ずっと遊べます。

ボクには充電は必要ないんです。

それで、ボクは気がつきました。

クマくんは、充電しないと動けなくなるロボットなんだって!

さっきも、クマくんはお家に帰りました。

「充電してくるね。」

と言っていました。

ボクは、一人でずっと待っているけど、クマくんは全然戻ってきません。

そうだ。

充電しているクマくんを呼びに行こう。

大丈夫、だって、ボクはクマくんの秘密をしってるし、

クマくんの一番の友達だから。

 

クマくんの家につきました。

「クマくん」って、声をかけたいけど、ちょっとドキドキします。

まだ充電中だったら、クマくんは怒るかな。

ボクは、クマくんの家の窓からそっと中を覗きました。

クマくんは、赤ちゃんみたいにお母さんに抱っこされています。

もう、充電は終わったのかな?

クマくんのお母さんが何か話しています。

よーく耳を澄ましてみました。

「充電中、充電中、

 元気いっぱいになったかな。」

クマくんのお母さんが優しい声で歌っています。

「充電中、充電中、

 もうちょっとで、満タンです。」

今度は、クマくんが歌っています。

クマくんも、お母さんも、とっても楽しそうです。

じーっと見ていたら、ボクもお母さんに会いたくなってきました。

「ボクも、充電してくるね。」

 

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