しあわせな時間【創作童話】

 

梅雨の時期は、洗濯物が乾かない。

部屋のあちこちに洗濯物がぶら下がっている。

洗濯物が乾いていないのに、毎日洗濯するから、もう干すところもない。

 

3歳の娘は、今日も外で遊べない。

パズルして、ぬり絵して、おままごとして、お医者さんごっこもした。

今、娘はイスからジャンプしている。

 

床には、オモチャ。

窓には洗濯物。

狭い部屋は、物で溢れている。

 

コインランドリーに行こう。

私は、大きなビニール袋に洗濯物を詰める。

娘は、お気に入りのリュックにオモチャを詰める。

 

車で10分のコインランドリー。

1つだけ空いていた。

娘が200円入れて、スタート。

 

隣のスーパーで買い物。

娘は、小さなお菓子を3つ。

私は、温かいラテを1つ。

 

コインランドリーで娘と2人。

お菓子を食べては、ゴミ箱に捨てに行く娘。

久しぶりに雑誌を読んで、ラテを飲む私。

 

誰もいなくて良かった。

「これ、なあに?」

「靴を洗う洗濯機だよ。」

 

200円で24分。

のんびりと、ゆっくりと。

雨の音と、乾燥機の音と。

 

「お菓子、全部、食べた。」

「お洗濯、終わったよ。」

ふんわり乾いた洗濯物。

 

200円の贅沢。

24分のしあわせな時間。

また、来よう。

 

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