夢工場 【創作童話】

ぼくの町のはずれに、白いえんとつがある。

そこから出るけむりは、いろいろなカタチをしている。

「おとうさん、あのえんとつは、なに?」

「あそこには、こどものゆめをつくる工場があるんだよ。」

えんとつから、けむりが出てくる。

「ほら、今日は、キリン、ゾウ、ライオンのけむりだ。

 今日のゆめは、どうぶつえんのえんちょうさんかな。

 それとも、じゅういさんかな。」

 

つぎの日、ランドセルを家において、いそいで、工場にむかった。

工場は、おかの上にある。

おかをのぼると、白いたてものがあった。

ぼくは、入口をさがして、走った。

ガラスのドアがあった。

中をのぞいたら、中にいる人と目があった。

「こんにちは。」

まっ白いふくの人がきた。

「こんにちは。」

小さなこえで、こたえた。

「どうしたの?」

「あのう、ぼくのゆめも、つくってください。」

こんどは、大きなこえで、いった。

「こちらへ、どうぞ。」

まっ白いふくの人が、中に入れてくれた。

 

ぼくは、まっ白いふくの人についていく。

たてものの中も、まっ白だ。

かいだんをのぼっていくと、ひろいへやについた。

まどから、町が見える。

ぼくは、外が見えるソファにすわった。

「きみのゆめをおしえてください。」

「ぼくのゆめは、ちきゅうをまもるヒーローです。」

まっ白のふくの人は、にっこりわらった。

「ここで、ちょっと、まっててね。」

まっ白いふくの人は、かいだんを下りていった。

 

大きなまどから、町がぜんぶ見える。

ぼくの学校を見つけた。

今日のプールは、たのしかったなあ。

なんて、かんがえていたら、ねむってしまった。

ゆめの中で、ぼくは、てきとたたかっている。

ぼくは、つよい。

ぜったい、まけない。

だって、ぼくは、ちきゅうをまもるヒーローだから。

ぼくは、てきをぜんぶ、たおした。

みんなが、「ありがとう」といっている。

 

目をさますと、あまいかおりがした。

「おまたせしました。」

まっ白いふくの人から、白いふくろをもらった。

ふくろは、あたたかかった。

「あけてみて。」

「うわー!!」

中に、ぼくのかおと同じ大きさのクッキーが入っている。

せいぎのヒーローのクッキーだ。

「もう一つ、あるよ。」

もう一つは、まあるいちきゅうのクッキーだった。

「ちきゅうを、よろしくね。」

「はい!」

 

「ありがとうございました。」

ガラスのドアの前で、ぼくはふかくおじぎをした。

おかを下りながら、えんとつを見上げた。

ちきゅうのカタチをしたけむりとヒーローのけむりが空をとんでいる。

「おとうさん、今日は、ぼくのゆめがカタチになったよ。」

 

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