学校改革①【創作童話】

「学校改革」というのが、ボクが生まれる十年くらい前にあった。

おじいちゃんの頃は、近所の子供は、みんな、地域の同じ小学校に通ってたらしい。

どこの学校に通っても、同じようなカリキュラムをしていたんだって。

今は、小学校によって、いろいろな特色があるから、見学に行くと、びっくりする。

スポーツの設備が整った小学校、

工作や絵画をメインに勉強する小学校、

ほとんど毎日を外で生活する小学校など。

その中から、自分の行きたい学校を選ぶ。

転校は一度しか認められないから、真剣に選ばないとね。

 

では、ボクの小学校を紹介しよう。

1学年がだいたい20人、全校生徒120人くらいの学校だ。

学校に行くと、まず昇降口のホワイトボードに書かれた「今日の授業」を見る。

そこで受けたい授業のところに自分の名前のマグネットを貼る。

午前中の分と午後の分と、2つ。

それぞれの授業には、定員が決まっている。

ここでは、即決が大事なんだ。

1年生の頃は、選ぶのに時間がかかって、いつも残った授業を受けてた。

それはそれで、楽しかった。

受けたい授業がない時は、友達の名前の隣に自分の名前を貼ったり、

たまには、みんなが選ばなかった授業も受けてみたりする。

 

それから、自分が選んだ授業の部屋に移動する。

席がある時は、好きな席に座って、席がない時は、立って待っている。

3年生の頃は、待っているのも暇だから、タブレットで今日の授業に使いそうなことを先に調べていた。

役に立つ時もあれば、役に立たない時もあった。

4年生になった今は、友達とのコミュニケーションの時間にしている。

 

授業の最初に、先生が今日のテーマを発表する。

それについて、みんなで意見を出し合っていく。

先生は、後ろから見ていることが多い。

本当にピンチの時にだけ、アドバイスをくれる先生もいる。

ほとんどは、ボクたちだけで話が進んでいく。

自分の意見にみんなが賛成してくれるのも楽しいし、

自分が気が付かない方へ話が進んでいくのも楽しい。

先生はボクたちを信じてくれているし、

ボクたちは、どんなテーマでも真剣に考える。

みんなで1つのことを考えるって、学校でしかできないよなあ。

その時間内に終わらなかったテーマは、次の日の授業で同じテーマの時もある。

今日、分からなくても、明日になったら、分かったりして、それも楽しい。

 

給食を食べて、昼休み、掃除。

午後の授業に参加して、下校。

まあ、ボクの小学校は、こんな感じ。

もちろん、ボクも、この小学校が気に入っている。

だけど、一つだけ、不満がある。

ボクの家から小学校までが、遠い。

朝は、父ちゃんに送ってもらえるが、帰りはバスだ。

バスだと1時間くらいかかる。

 

今日は、バスの中で何をしようかな、と考えている最中にバスが来た。

バスの中には、小さな子を連れた人やお年寄りとか5人くらいが乗っている。

ボクは、ぼんやりと外を眺めていた。

バスの揺れが心地よい。

1年生の時は、バスで寝ちゃって、よく運転手さんに起こしてもらっていた。

突然、バスが止まった。

バス停じゃないのに、なんで?

運転手さんが、外に出て、また戻ってきた。

「すみません。パンクです。

 代わりの車が来るまで、こちらでお待ちください。」

「どれくらいかかりますか?」

子供連れの人が聞く。

「30分くらい、かかると思います。

 申し訳ありません。」

運転手さんが頭を下げている。

30分かあ。

窓の外に公園が見えた。

あそこの公園なら、バスも見えるし、ちょっと遊んでこようかな。

ボクは、道路を渡って、公園に入った。

なんか、古そうな公園。

見たこともない遊具が置いてある。

トンネル?

いや、ドカンだ。

昔の本で見たことがある。

入るのは、初めてだ。

中は、ひんやりしていて、暗いなあ。

もうすぐ出口だ。

「痛い!」

ドカンに頭をぶつけた。

いたたたた。

頭をさすりながら、外に出ると、そこは、知らない小学校の校庭だった。

 

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