学校改革②【創作童話】

頭をさすりながら、外に出ると、そこは、知らない小学校の校庭だった。

 

「マコトくん、おはよう。」

「マコトー、おはよー。」

みんながボクにあいさつをする。

マコトって誰だ?

胸にある名札を見て、驚いた。

おじいちゃんの名前が書いてある。

ボクは、おじいちゃんなのか?

 

ボクは友達と一緒に学校内に入る。

周りを見たけど、今日の授業のホワイトボードがなかった。

友達の話を聞きながら、階段を上って、4年生の教室に入った。

落ち着け、落ち着け、と何度も心の中で唱える。

好きな席に座ったら、

「マコトの席は、あっちだよ。」

と笑われた。

席が決まっているんだ。

ずっと背負っていたランドセルを下ろした。

急に体が軽くなった。

肩が痛い。

あれ、頭の痛さが消えている。

頭を触ったけど、タンコブはできてないみたいだ。

 

チャイムがなって、

「授業を始めます。教科書を開いて。」

と、先生が言う。

みんなが教科書を開く。

ボクは、どんなテーマなのか、ワクワクしながら、先生の顔を見ていた。

でも、先生は、ずっと話し続け、ほとんどの子は聞いているだけ。

先生が黒板に字を書いて、みんながノートに字を書いた。

チャイムがなって、みんながガヤガヤしはじめた。

「やっと、話し合いの時間?
 ボク、今日のテーマが分かんなかったんだけど。」

「今は、休み時間だよ。」

「休み時間?」

マジか、そんな時間があるのか。

休み時間は、午前中だけで4回もあった。

こんなに休んでいたら、全然、集中できないよ。

それに、みんなは、座って、先生の話を聞いているだけだ。

ボクの学校では、先生は、こんなに話さない。

ボクの学校は、生徒が主役、先生はサポート役だ。

おじいちゃんの学校は、先生が主役で、生徒は観客みたいだ。

ボクは一言も話していないのに、授業が終わっていく。

4時間目は、あくびが止まらず、先生に厳しく注意された。

 

給食を食べて、午後の授業を受けて、やっと下校だ。

ホントに、「やっと終わった」と思った。

どんだけ長い時間を学校で過ごしていたのかと時計を見たけど、

ボクの学校と下校時間が同じで、またびっくりした。

早く帰りたい。

バス停を探して、キョロキョロしていたら、友達が一緒に帰ろうと誘ってくれた。

バスじゃなくて、みんなで歩いて帰るらしい。

しばらく、友達の話を聞きながら歩いた。

最初は、大勢いたのに、1人、1人、と別れていく。

やばい、ボクは家が分からない。

「ボクの家、知っている?」

隣を歩く子に聞いたら、大笑いされた。

「何の冗談だよ。

 おれの隣の隣だろ。

 ランドセル置いたら、公園に集合な。」

良かった。

この子の隣の隣の家に帰ればいいんだ。

 

家に着き、ランドセルをおろして、公園に走る。

友達が何人か集まっている。

みんな、同じ学校なんだ。

帰る時間が同じだから、遊び始める時間も同じ。

下校の時に、遊ぶ約束もできるし、家の近くで遊べる。

放課後に、こんなに友達と遊べるんだ。

地域の学校って、楽しいかも。

久しぶりに、かくれんぼをした。

ボクは、ドカンの中に隠れた。

「みーつけた。」

ドカンを出ようとして、頭をぶつけた。

いたたたた。

頭をさすりながら、外に出ると、バスの運転手さんが待っていた。

 

あ、そうだ。

バスがパンクしたんだった。

あれ、頭が痛い。

パンクしたバスの代わりにきた車で、いつものバス停まで送ってもらった。

揺れる車内で、考えていた。

さっきのは、夢だったんだろうか。

頭を触ると、タンコブができていた。

 

次の日。

帰りのバスから昨日の公園を見つけた。

ボクは、次のバス停で降りた。

昨日と同じ、古そうな公園。

ドカンの中を覗く。

恐る恐る入ってみた。

出口の近くで、また頭をぶつけた。

「いたたたた。」

頭をさすりながら、外に出ると、そこは、昨日の小学校だった。

 

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