夜の動物園 【創作童話】

ぼくは、寝るとき、ママの上に寝る。

ママが上を向いて寝たら、

ぼくがママの上に乗って、ぼくも上を向いて寝る。

こうすると、とっても落ち着くんだ。

 

でも、ある日、ママが言った。

「お腹に赤ちゃんがいるから、

 もう、ママの上で寝ないでね。」

ママのお腹は、いつもと同じなのに。

どうして、だめなの?

「赤ちゃんが重いよっていうから駄目なの。」

 

次の日、もう赤ちゃんはいなくなったかもしれない。

寝るとき、ママの上に寝た。

「やめて。」

ママがすっごく怒った。

本当は、赤ちゃんなんかいないんだ。

ママは、ぼくが嫌いになったんだ。

ぼくは、布団に頭を付けて泣いた。

ママが、ぼくの頭をなでなでする。

ぼくは、ママの上で寝たいんだけなんだ。

ぼくは、泣きながら寝てしまった。

 

次の日、ぼくは眠れなかった。

だって、ママの上で寝てないんだもん。

布団の上じゃあ、全然眠れない。

ママが腕枕をしてくれる。

ママの横に、ぴったりくっついた。

でも、眠れない。

 

「あ、そうだ。」

ママが、ライトを持ってきた。

ライトの明かりが天井を照らす。

天井が丸く明るくなった。

そこに黒い鳥が飛んできた。

「影絵だよ。」

ママが教えてくれた。

「どうやるの?」

ぼくの鳥がママの鳥より大きく飛んでいる。

そこに、ママのキツネがやって来た。

ぼくも真似をした。

二匹のキツネが仲良く踊っている。

今度は、イヌがやってきた。

ぼくは布団の上に立ちあがった。

「うわー、怪獣がきたあ。」

ママのイヌが逃げていく。

 

「ママ、明日も、やりたい。」

とぼくが言う。

「いいよ。

 明日は何の動物がくるかな。

 赤ちゃんが生まれたら、

 みんなで、本物の動物園にいこう。」

と、ママが言った。

「赤ちゃんが生まれたら、

 ぼく、ママの上で寝る!」

 

 

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