先生、お願い【創作童話】

あっくんは、いつも先生に怒られている。

「ちゃんと、座ってください。」

「椅子に立たない。」

授業中、何回も怒られている。

 

そんなあっくんと席が隣になった。

「どうして、いつもふざけるの?」

あっくんに聞いてみた。

「だって、先生はいつも怒っているから、

 笑ってほしいんだ。」

 

運動会の練習が始まった。

リレーの選手になったあっくんは、ふざけていなかった。

「ぜったい、勝つ。」

あっくんの額に汗が光っていた。

 

運動会、当日。

最後のリレー。

先生は大きな声で、あっくんのことを、

「がんばれー!!」と応援していた。

 

運動会、先生が笑っていた。

運動会、あっくんも笑っていた。

運動会、みんな笑っていた。

運動会、楽しかった。

 

ねえ先生、お願いがあるの。

応援してくれるだけでいいの。

それだけで、みんな笑顔になれるんだ。