願い事が多すぎる【創作童話】

おじいさんは、町のゴミを拾うのが日課です。

毎日、ゴミを拾いながら、少しでもこの町がきれいになれば良いと願っていました。

 

息が白くなる季節も、おじいさんはゴミを拾いました。

毎日ゴミを拾いながら歩いていると、

泣いている子に出会うのです。

 

お母さんに怒られて泣いている子、

寒さに耐えきれずに泣いている子、

お腹をすかして泣いている子。。。。

 

そんな子に出会うたび、おじいさんは心のなかで願いました。

「どうか、あのこが笑っていられますように」と。

 

おじいさんは、毎日、何度も、願いました。

「子どもたちが笑っていられるように」と。

しかし、毎日泣いている子を見かけました。

 

星がきれいな静かな夜、おじいさんは空をみつめ思いました。

どんなに願っても、願い事は叶わない。

泣いている子は、いなくならない。

 

おじいさんは、大きなため息をつきました。

おじいさんの白い息が消えると、神様が現れました。

 

神様もおじいさんのマネをしてため息をつきました。

「あなたは、願い事が多すぎる。

 毎日、毎日、願い事が尽きない。」

それから、神様はニコリと微笑みました。

「でも、あなたが願うのは自分のことではない。

 いつも子どものことばかり。

 そして、あなたの行いは素晴らしい。

 そろそろ願うのはやめて、

 あなたが子供たちを笑顔にできるように動いてみては?」

 

おじいさんはしばらく考えていましたが、

町のゴミ拾い以外におじいさんにできることなんて、

何も思いつきませんでした。

 

「私が一つだけ願いを叶えると言ったら?」

神様は、おじいさんに問いかけました。

 

こどもたちが笑顔になることってなんだろう?

おじいさんは考えました。

 

「あのう、子どもたちに贈り物をしたいです。

 子どもたちが今欲しいものを届けたいです。

 たった一日でいい。

 世界中の子どもたちが笑顔になれる日にしたい。」

 

神様は、コクリとうなずきました。

「では、その願いを叶えよう。」

 

次の瞬間、星がキラキラと輝きました。

おじいさんの服は外でも暖かい赤い服に変わっていました。

家の外には、たくさんのプレゼントを載せたソリがありました。

そして、トナカイがすぐにでも出発したいと鼻を鳴らしました。

 

12月24日の夜、

こどもたちの笑顔を願ったおじいさんは、サンタクロースとなりました。

「どうか、すべての子どもが笑顔になれますように。」