
「そろそろ、サンタさんに頼むものは決まったかい?」
お父さんが聞いてくる。
「まだ。」
僕は答えた。
僕は欲しいものがなくて困っている。
ゲーム?
今、ハマっているのを攻略するまで、新しいのはいらないし。
ミニカー?
もうたくさん持っている。
図鑑?
うーん、図鑑っていう気分じゃない。
「別にサンタさんにプレゼントを頼まなくてもいいんだよ。」
お父さんが嫌な言い方をする。
「それじゃ、だめなんだ。」
僕は答えた。
学校で友達が「サンタクロースなんかいない」と言っていた。
その友達は、去年もプレゼントをもらっていないらしい。
それを聞いて、僕は思ったんだ。
もし世界中の子どもがサンタクロースにプレゼントを頼まなかったら、
サンタクロースは年に1度の仕事がなくなってしまう。
もともと年に1回しか仕事がないのに、それを奪ってしまうなんて、
そんなことをしたら、サンタクロースが可愛そうだ。
それだけじゃない。
もし仕事がなくなったら・・・サンタクロースはいなくなってしまうんじゃないか?
イヤだ。そんなの絶対イヤだ。
だから、僕はサンタクロースにプレゼントを頼む。
どんどんクリスマスに近づいていく。
でも、まだプレゼントが決まらない。
どうしよう。どうしよう。
考えて、考えて、やっと決まった。
僕はサンタクロースに手紙を書いた。
《 サンタクロースさま
サンタクロースと同じ赤い帽子をください。 》
よし、これで今年もサンタクロースは僕の家にくる。
12月24日。
僕はとても満足していた。
プレゼントは頼んだ。
サンタクロースはいなくならない。
安心して、布団に入った。
そして、夢を見た。
僕がサンタクロースと一緒にプレゼントを配る夢だった。
ソリは空飛ぶ絨毯みたいにビュンビュン進んで、
僕は必死につかまっていたけど、
サンタクロースは、「オーホッホッ」と楽しそうに手綱を握っていた。
サンタクロースはどの子のプレゼントも間違うことなく置いた。
枕元にプレゼントをおくサンタクロースに、僕は小声で聞いた。
「どうして寝ている間にプレゼントをおくの?」
サンタクロースは、こっそり教えてくれた。
「朝起きてプレゼントがあったら、笑顔で今日が始まる。」
次は、「サンタクロースなんかいない」といった友達の家だった。
僕は、この子は行かなくていいよと首をふった。
サンタクロースは「大丈夫」と笑った。
友達は、もちろんプレゼントなんか頼んでないし、
サンタクロースに手紙だって書いていなかった。
そんな友達の寝顔にサンタクロースはウィンクした。
すると、友達が寝ながら笑った。
「素敵な夢をプレゼントしたよ。」
サンタクロースはプレゼントを頼んでいない子の家にもちゃんと行った。
そして、全部のプレゼントが配り終わると、サンタクロースが言った。
「私は、子どもたちの笑顔が大好きなんだ。
だから、いなくなったりしないよ。
子どもがいるかぎり。」
サンタクロースは、僕の頭をなでた。
大きくて、優しい手だった。
12月25日、目を覚ますと、枕元にサンタクロースとおそろいの赤い帽子があった。
僕は赤い帽子を抱きしめて、とびきりの笑顔でいった。
「サンタさん、ありがとう!」