しあわせに えんりょは いらない【創作童話】

まいとし はるになると

もりでは すもうたいかいが ひらかれます。

ことしのけっしょうせんは パンダくん たい クマくん。

いよいよ しあいがはじまります。

 

「はっけよーい のこった。」

パンダくんも クマくんも

まわしをつかんで うごきません。

ちからは ごかく。

いいしょうぶです。

 

パンダくんは きょねん クマくんに まけました。

それから まいにち いっしょうけんめい れんしゅうをしました。

 

そのときです。

パンダくんのあしが どひょうのそとに・・・

でも、それよりさきに

クマくんのてが じめんにつきました。

「パンダくんのかち!」

 

パンダくんが「やったあ!」と 

りょうてをあげて よろこぼうとしたとき

めのまえで クマくんが「わー わー」と 

おおきなこえで なきはじめました。

パンダくんは あわてて てをひっこめました。

パンダくんは じぶんが かってよかったのか

わからなくなりました。

 

そこへ ウサギくんが きました。

パンダくんは したをむいて もじもじしています。

「どうしたの? うれしくないの?」

ウサギくんは ふしぎそうに ききました。

「ぼくがかったから クマくんがないている。」

パンダくんが かなしそうに こたえました。

「クマくんは いっしょうけんめい がんばって 

 まけたから ないているんだ。

 パンダくんだって いっしょうけんめい がんばって

 かったんだから よろこんでいいんだよ。」

パンダくんは もういちど クマくんをみました。

クマくんのかたが ヒクヒクゆれています。

 

そこへ リスくんが はなのかんむりをもって やってきました。

「パンダくん おめでとう。」

リスくんが はなのかんむりを パンダくんのあたまに のせました。

いろいろな はなの いいかおりがします。

パンダくんは このかんむりがほしくて 

いちねんかん たくさん どりょくをしました。

でも ないているクマくんをみていたら 

すなおに よろこべなくなりました。

 

そこへ まけたクマくんが きました。

「パンダくん おめでとう。」

クマくんのめは まっかでした。

「かって ごめんね。」

パンダくんは あやまりました。

「なんで パンダくんが あやまるの?

 ぼくは まけて すっごく くやしいけど 

 パンダくんが かって すっごく うれしい。

 ぼくは パンダくんといっしょに 

 パンダくんのかちを よろこびたい。」

クマくんは なきながら わらいました。

 「クマくん ありがとう。」

パンダくんとクマくんは あくしゅをしました。

「つぎは まけないよ。」

クマくんが こっそり いいました。

 

「ゆうしょうは パンダくん!!」

パンダくんは りょうてをあげて よろこびました。

パンダくんのえがお と はなのかんむりが かがやいています。

おいわいのはくしゅが もりじゅうに ひびきました。

 

 

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