創作童話【小学校低学年】

眠れない【創作童話】

はっ! 目が覚めた。 朝? ううん。真っ暗だから、まだ夜だ。 こんな夜に起きているなんて。 ママが知ったら、「寝なさい」って言われちゃう。 うん。寝よう。 はっ! 眠れない。 もう一度目をとじる。 はっ! 眠れない。 どうしよう。 さっきからパパがうる…

面倒くさいは、どんな匂い?【創作童話】

「えー、面倒くさい。」 私が言うと、クリームがやってきて、 私の口をペロペロなめた。 「ちょっと、クーちゃん、やめて!」 私はひっくり返って、足をバタバタした。 クリームは、私のかわいいワンちゃん。 最近、ペロペロするようになって、困ってる。 「…

はやく あしたに ならないかな【創作童話】

「はやく あしたに ならないかな。」 わたしがいうと、 「あした なにか あるの?」 ママがきく。 「なんにも ないよ。」 つぎのひ。 「はやく あしたに ならないかな。」 わたしがいうと、 「あしたのきゅうしょく パスタなの?」 ママがきく。 「しらない…

大黒柱の椅子【創作童話】

じいちゃんばあちゃんの家に来た。 久しぶりのお泊りだ。 一日経って、気がついたことがある。 じいちゃんは、いつも椅子に座っている。 「こんにちは」って、最初に挨拶した時も、 ご飯を食べる時も、 ぼくたちが出かけて行く時も、 ぼくたちが帰って来た時…

「大丈夫」の天使【創作童話】

どうしよう。 どうしよう。 おなかが痛くなってきた。 まだ、授業中。 どうしよう。 どうしよう。 「大丈夫だよ。」 目の前に天使が飛んでいる。 「大丈夫。こっそり手を上げてごらん。 先生がこっちにきたら、 おなかが痛いって、言えばいいんだよ。」 私は…

10分間【創作童話】

10分間は、長いのか、短いのか・・・? 休み時間の10分間は、短い。 友達と話していたら、 あっという間にチャイムが鳴る。 布団の中の10分間は、短い。 さっき鳴った目覚まし時計が、また鳴る。 あっという間に学校に行く時間。 ゲーム中の10分間は…

にいに ばんざい【創作童話】

あかちゃんが うまれた。 ぼくは にいちゃんになった。 ぼくは「いない いない ばあ」をした。 あかちゃんは ちっとも わらわない。 もういちど「いない いない ばあ」をした。 パパが「まだ わからないみたいだね」と いった。 ぼくは ようちえんにいくまえ…

息子と石ころ 【創作童話】

息子が小学生になった。 毎日、学校までの往復を歩いていく。 毎朝、家の門で「いってらっしゃい」をして、 息子の後ろ姿が見えなくなるまで見送っていた。 ふと気がつくと、門の所に石ころがあった。 最初に気がついた時は、3つくらいだった。 それが次第…

泣くのは、ズルじゃない 【創作童話】

「また、泣く。 泣くのは、ズルだよ。」 お兄ちゃんが怒って、妹が泣いている。 「どうしたの?」 ママは、妹を抱っこした。 「もっと、飲みたいんだって。 ちゃんと、半分あげたのに。」 お兄ちゃんが説明する。 空になったペットボトルとグラスが2つ。 「…

ドーナツのこころ 【創作童話】

今日のおやつは、ドーナツ。 ドーナツのあなから、ママを見る。 「早く、食べなさい。」 「ママ、見て。 心にポッカリ、あながあく。」 ドーナツのあなから、指をだす。 「はあ。」 ママ、このことば、しらないのかな。 まあいいや。 ドーナツって、なんでこ…

無限バスタイム 【創作童話】

小学1年生になったら、おこずかいがもらえる。 ぼくは、すっごく楽しみにしていた。 だが、しかし! おこずかいをもらうためには、「おてつだい」も、ついてくるのであった。 ぼくのおてつだいは、おふろあらいにきまった。 「そろそろ、おふろおねがーい。…

夢工場 【創作童話】

ぼくの町のはずれに、白いえんとつがある。 そこから出るけむりは、いろいろなカタチをしている。 「おとうさん、あのえんとつは、なに?」 「あそこには、こどものゆめをつくる工場があるんだよ。」 えんとつから、けむりが出てくる。 「ほら、今日は、キリ…

トウモロコシ迷路【創作童話】

僕は、お父さんと「トウモロコシ迷路」の入口に並んでいる。 二メートルくらいあるトウモロコシの茎が壁になっている巨大迷路だ。 去年に続いて、2回目の挑戦だ。 あと10人目くらいで、スタートできる。 「ねえ、今年は一年生になったから、一人で行っても…

99歳、おめでとう【創作童話】

ばあちゃんの畑仕事が終わるまで、マンガを読んで待っていよう。 オレは学校が終わると、ほぼ毎日、ばあちゃんの家にいる。 ばあちゃんっていっても、母ちゃんのばあちゃんだから、本当はオレのひいばあちゃんだ。 母ちゃんは、オレからばあちゃんの様子を聞…