旅立ちの朝【創作童話】

朝、窓を開け、空を見上げた。

雲一つない青い空。

風もない。

 

今日が晴れで良かった。

今日から、こどもが一人暮らしを始める。

 

生まれた時、あまりに小さくて、落としてしまいそうで怖かった。

お風呂に入っていたら、眠ってしまって、出るに出られなくなった。

幼稚園に通い始めた頃は、毎日泣いていた。

卒園式では笑顔で、親の私の方が大泣きだった。

小学校は行きたくないと、夜泣いていたこともあった。

中学生の頃は、必要なこと以外は話さなくなった。

高校生の頃は、一緒に進路を考えた。

 

朝という漢字は、「十月十日(とつきとおか)」と書くと、

誰かが言っていた。

太陽が生まれる朝が、こどもが生まれることと同じくらい

待ち遠しいものになってほしい。

朝のように眩しい世界が広がっていてほしい。

我が子が生まれたときから、思いはいつも同じ。

ずっと応援しているよ。

 

「ホーホケキョ」

うぐいすのファンファーレが聞こえた。