創作童話【小学校高学年】

4小節【創作童話】

「自分で曲を作ってみましょう。」 音楽の時間、先生が言った。 楽譜は、4小節ぶん。 「むーりー。」 クラスの男子が叫んだ。 「音楽は音を楽しむことです。 自分の好きな音をつかって、曲を作って、楽しみましょう。」 先生は楽しそうだ。 配られたプリン…

ついてない日のおまじない【創作童話】

「学校に行っても、何もいいことがない。」 ぼくがポツリというと、 「ついてない日のおまじないを教えてあげるね。 いいことがある、いいことがあるって言いながら学校に行くと、 いいことがあるよ。」 と、お母さんが教えてくれた。 ぼくは、言われた通り…

雪が解けていく【創作童話】

「うるせー!」 まただ。 反抗期の間は、仕方がない。 大人になる準備だ。 分かっているが、言葉の矢が真っ直ぐに飛んでくる。 それも、毎日。毎時間。毎分・・・。 反抗期は、季節に例えると、冬かもしれない。 反抗期の雪が、どんどん積もっていく。 こち…

バーチャルの自分【創作童話】

「はい、お疲れさまでした。」 店員さんが僕からVRを外す。 「もし良かったら、お父さんも体験できますので、どうぞ。」 店員さんに勧められて、お父さんもVRをつけた。 お父さんは、どんな世界を見ているんだろう? たまたま、お父さんと来たショッピングモ…

ゲームの耳に願望【創作童話】

「宿題、終わったの?」 「明日の準備は?」 「あと何分でゲーム終わるの?」 お母さんは、オレのゲームを邪魔するのが趣味みたいだ。 お母さんは、オレがゲームをしている時に限って話しかけてくる。 ある時から、ゲーム中にお母さんの声が聞こえなくなった…

学校から歌が消えていく 【創作童話】

「今日から、歌いません。」 先生が言った。 わたしは、音痴だ。 歌のテストがなくなって、ホッとした。 合唱発表会も、なくなった。 音楽鑑賞会も、なくなった。 学校から、音楽が消えていく。 このまま、歌わずにすんだら、 わたしが音痴だということは誰…

悪魔 【創作童話】

「死ぬな!」 体がビクンとなって、動かなくなった。 後ろから近づいてくる足音がする。 振り向きたくても、動けない。 金縛りにあったみたいだ。 一歩、一歩、近づいてくる。 足音が止まった瞬間、目の前にギロリと睨む目があった。 しばらく、その目が俺を…

その先に 【創作童話】

5年生になって、クラス替えがあった。 仲の良い友達とは違うクラスになった。 休み時間、一人で過ごすことが多くなった。 「新しいクラスは、どう?」 休みの日、お父さんが聞いてくる。 「うん、まあ。」 「たっくんは、同じクラス?」 「違う。」 「ゆう…

反抗期ニンジャ 【創作童話】

息子の反抗期が始まった。 「うざい」「黙ってて」「ほっといて」 暴言の日々だ。 息子の部屋へは、立ち入り禁止になった。 部屋をノックすると、 「合言葉は?」 と聞かれる。 答えても、部屋には入れないのに、なぜか言わされる。 リビングに居る時は、ダ…

たこしょうかい 【創作童話】

高校二年の夏休みが始まった。 そろそろ、進路を決めないと・・・。 就職か、進学か。 特にやりたいことは、ない。 ただ、この家を出ていきたいと思っている。 とりあえず、出ていくために、部屋の片付けを始めている。 押入れのダンボール。 もう、何が入っ…

学校改革③【創作童話】

頭をさすりながら、外に出ると、そこは、昨日の小学校だった。 「マコト、おはよー。」 昨日と同じような1日が始まった。 一つ違ったのは、ボクが日直だったことだ。 日直というのが、順番で回ってくるらしく、 今日は、ボクだった。 日直の仕事は、授業の始…

学校改革②【創作童話】

頭をさすりながら、外に出ると、そこは、知らない小学校の校庭だった。 「マコトくん、おはよう。」 「マコトー、おはよー。」 みんながボクにあいさつをする。 マコトって誰だ? 胸にある名札を見て、驚いた。 おじいちゃんの名前が書いてある。 ボクは、お…

学校改革①【創作童話】

「学校改革」というのが、ボクが生まれる十年くらい前にあった。 おじいちゃんの頃は、近所の子供は、みんな、地域の同じ小学校に通ってたらしい。 どこの学校に通っても、同じようなカリキュラムをしていたんだって。 今は、小学校によって、いろいろな特色…

真っ黒テレビくん【創作童話】

「お母さん、テレビが映らないよ。」 お姉ちゃんが、テレビのリモコンを持って、ぶーたれている。 「音は出ているんじゃない? 修理すれば直るかな。」 お母さんがキッチンから覗き込む。 「えー、直すの?新しいのに買い換えようよ。」 「お父さんにも聞い…