1歳のポイ活?【創作童話】

1歳半を過ぎたら、いろいろできることが増えた。

指さして教えてくれたり、歌に合わせて手をたたいたり。

そして、ポイ活もするように・・・

 

きっかけは、小学生のお姉ちゃんがテーブルにあったティッシュを

ゴミ箱にポイッと捨てるように頼んだことだった。

1歳児は、不安そうにゴミ箱にティッシュを捨てた。

それをみんなが大げさに褒めた。

 

それから、1歳児のポイ活が始まった。

何でも、ポイポイとゴミ箱に捨てる。

それも、勝手に捨てる。

 

初めは可愛かった。

鼻水も出ていないのに、鼻にティッシュをあてて、それをゴミ箱にポイっと。

鼻をかむ小さな手も、よちよちとゴミ箱まで歩く姿も、可愛かった。

 

そのうち、その辺にあるものもポイッと捨てるようになった。

床に落ちているもの、テーブルに置いてあるもの・・・。

お姉ちゃんの脱いだ靴下を捨てていたときは、さすがに笑った。

 

そんな感じで捨てられたくないものも捨てられてしまうようになった。

何か対策をしなければと、ゴミ箱の上に下敷きをおいて蓋をした。

が、一歳児は下敷きが邪魔で捨てられないと泣いた。

結局、1歳児のポイ活は続いた。

 

悩んでいたある日、リモコンがなくなった。

真っ先にゴミ箱を探したが、見当たらない。

ソファの隙間にも、テーブルの下にも、ない。

 

1歳児に、一応、「リモコンどこ?」と聞いてみたが、

キョトンとして、答えるわけもなく・・・

 

お姉ちゃんが小学校から帰ってきたので、聞いてみた。

すると、もしかしてと言って、一番下の引き出しを開けた。

「あった!」

リモコンが入っていた。

 

この引き出しは、お姉ちゃんがお菓子を大事にしまっている引き出しだ。

大事なお菓子をしまうのを1歳児はよく見ていたんだ。

そして、大事なもの(リモコン)をポイっと引き出しに入れたんだ。

私は、1歳児を抱きしめて大いに褒めた。

 

1歳児のポイ活が「捨てる」から「しまう」になった。

断然、こっちの方がいい。