水も滴る元気な子 【創作童話】

コップの水をこぼした。

急いで、タオルを取りにいく。

戻ったときには、遅かった。

1歳の子が、テーブルの水をビチャビチャしてる。

あーあ。

なぜ、こういう時だけ、タオルを取りに行くママを追いかけずに、

テーブルの水の方に行くのだろう?

ビチャビチャした水が顔にかかって、笑っている。

顔も、手も、洋服も、ビチャビチャだ。

 

天気がいいので、お散歩にでかける。

水溜りを見つけた時には、遅かった。

1歳の子が、水溜りの中に突進していく。

あーあ。

なぜ、こういう時にかぎって、長靴をはかずに

散歩にきてしまったのだろう?

1歳の子が、何度も水溜りを行ったり来たりする。

水溜りの水が広がっていく。

靴も、靴下も、洋服も、泥水がハネている。

 

お家プールを出した。

ホースをプールに入れて、水を溜める。

ホースには触らないと言った時には、遅かった。

1歳の子が、ホースを握って、思いっきり、顔に水をかけている。

あーあ。

なぜ、こういう時、「イタズラします」という顔をするだろう?

ホースの水が、ママにもかかる。

二人とも、ずぶ濡れだ。

 

もういいや。

今日は、濡れてしまおう。

1歳の子が、濡れた自分の服を指差す。

「そうだね。ビチョビチョだね。」

1歳の子が、今度は、ママの濡れた服を指差す。

「そうだね。ママもビチョビチョだね。」

1歳の子が、ママのお腹を指さしている。

「???

 あー、そっかあ。

 お腹の中にいた時は、水の中だったってこと?」

だから、水が好きなのね?

1歳の子が、今度は、遠くを指差した。

「あ!」

1歳の子の手に、ママの手を重ねて、指をさす。

「にじ、みえる?」

ホースの水のアーチの中に虹を見つけた。

 

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