わたしのシンデレラタイム【創作童話】

日曜日の朝は、早起きする。

誰も起きてこないうちに、お風呂に入る。

 

洗濯機をスタートさせる。

洗濯機が止まるまでが、

私のシンデレラタイム。

 

朝日の中で入るお風呂。

鳥のさえずりを聞きながら入るお風呂。

 

いつもより、良い香りのするボディソープで丁寧に洗って、

いつもより、高級なバスソルトを入れて静かな湯舟につかる。

 

「ふうー。」

幸せな時間だ。

 

シンデレラが王子様と過ごした時間と同じくらい幸せだ。

12時の鐘がなるのを忘れてしまうくらい幸せだ。

 

ドタバタドタバタと小さな足音が聞こえる。

小さな足音が、あっちこっち動き回っている。

 

「ガラッ。」

お風呂のドアが開く。

「ママ、こんな所にいたの?探したよー。」

元気よく娘が笑う。

「わたしも、入る!」

あっという間に裸になって、娘がお風呂に入ってくる。

 

「ピピッ。ピピッ。」

洗濯機が終了の音を鳴らす。

私のシンデレラタイムも終了。

 

「なんかいい匂いがする。」

娘がくんくん匂いをかいでいる。

お湯を小さな手ですくって、香りをかぐ。

「うわあ!プリンセスの香りぃ。」

娘がうっとり微笑む。

 

シンデレラの魔法の時間が終わっても、

ガラスの靴は消えない。

幸せな気持ちは消えない。

 

日曜日の朝は、早起きをする。

私だけのシンデレラタイム。

 

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