金色の季節に【創作童話】

桜がキレイだね。

来年は、一緒に見れるかな?

お腹を擦った。

 

かき氷、美味しいね。

何歳になったら、一緒に食べられるかな?

お腹の子に話しかけた。

 

病院からの帰り道。

緑の田んぼから白い鳥が飛び立った。

早く逢いたいな。

 

金木犀が甘く香る頃、

たくさんのおめでとうの中で、

あなたは泣いて生まれた。

 

退院の日。

風で稲穂がサラサラ揺れていた。

その小さな一粒一粒が喜んでいた。

その小さな一粒一粒が輝いていた。

その小さな一粒一粒に未来があった。

 

大丈夫。

 

大丈夫。

 

あなたは金色の季節に生まれたのだから。